「信じる」ということ(約2,000字)

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「いい仕事が見つかったよ」と言ってくれた方がいた。

 わたしはその方(Aさん)とは2年ほど前に知り合い、
Aさんの起業のお手伝いのようなことをしていた。
 AさんがITに疎かったので、わたしもそんなに詳しい訳ではなかったが、
AさんのWebサイトの修正とかアカウントの管理などをさせていただいた。
 それなりのことをしたが、金銭での報酬をいただいたことはなく、
手伝ったときに食事をさせていただくくらいが報酬だった。

 その後、Aさんが、敏腕コンサルタントを見つけてきた。
わたしにもその方を勧めてくれた。
 このままでは喰えないと、結構大金はたいて講座をとった。
 敏腕コンサルタントは親切な方だったと思う。
 ただ、何故かわたしは自分の意見が言えなかった。
 というか、しっくりこなかったのだ。
たくさんの方に成果を出されているにも関わらず、わたしは成果が出なかった。
 それと、Aさんは、敏腕コンサルさんには大枚はたくのに
わたしに現金で報酬を払うことがなかった。

 結局わたしはAさんからも、敏腕コンサルタントからも離れた。
そうして改めて働いた。
 そして、何故か条件の厳しいところ、口約束だけのところと、
どういう訳だか自分を安売りし続けて、また、仕事も転々とした。
 儲かるが経費もかかるところや、
 時間と仕事量が一定でないところや、
 最後はお店の開業を手伝ったが、
 まわりとの経験の違い、考え方の違い、ハードワークがたたり
身体が持たずに住むところも失った。

 そんなときにAさんから連絡をいただいた。
 その時わたしはどうにか近くの知人Bさん宅に居候させていただいており、
心身ともに衰弱した状態をどうにか立て直してるとこだった。

 BさんもAさんを知っていて、
「またAさん?気をつけな。あの人、あんたに何を返した?
 また、あんた以前と同じように利用されるだけじゃない?
 十分注意しなよ」

 確かにそれはわたしも思った。Aさん、押し強いし。
でも、条件闘争とかになったらちゃんと断ればいい、と。
 それと、Bさん宅で心身を回復させていただきながら、
これまでは結局、わたしは自分に自信がなくて、
いろんな人に依存してただけだ、と思った。
 自分の力を認めることなく、他者のためにと偽って、
ただただ見返りを求め続けただけだ、と。

 それを知って思った。
 本当にしたくないことはしないほうがいい、というか続かない。
おまけに散々自己犠牲を尽くしても、結局、お互いのためにならない。
 それと、自分に何もできないと思うのをやめようと思い、Aさんにあった。

 会って仕事の話を聞いた。
 詳しくは書けないが、自然の中での仕事だった。
Aさんの手掛ける事業でなく、Aさんの知人の事業だった。
 それも結構スケールが大きい。
 逆に何ができそうかも聞いた。
 とりようによってはやりがいを見つけることは十分に可能だ。
 人生できちんとしたキャリア設計というものをしないまま途中ドロップアウトして、
経験なしスキルなしで財産を失ったわたしには、むしろ感謝以外にないはずの話。
 でも、なにかしっくりこなかった。
 空気がきれいで、人もいい人。
だけど「はい」とは言えなかった。
 会えたことにお礼を言って去った。

 帰り道、Aさんは
「今ならまだあなたも参加の余地あるけど、
 本格的に動き出した時にいなければ

 ただ、あなたが居場所も仕事も失ったと聞いて
できることをさせてもらった。
 ちょうどタイミングも良かったし。

 それでも、あなたは自由。
自由に生きていいから」

 その言葉で、Aさんはわたしを陥れようという気はまるでなく、
純粋にそうしてくれたことを知った。
 というか、以前も同じだっただけで、
受け取るわたしに依存心があっただけだったかも、と。

 それを、何もかも失って知った。
 そして、自信ってこういうことか、と。

 素晴らしい仕事。10人中9.8人は申し分ないと言うに違いない。
 待遇も、報酬も。
 ただ、自分にはそれではないような気がして。
 でもみなさんに愛されていたことに曇りなくお礼を言った。

 結局、とことんまで自分を疑っていたわたしが、
もはや社会生活もできないところまで極まって、
自分を疑うことをやめて、というか、疑い続けることに疲れて放棄したら
目に映る風景や人までが認められるようになって。
 そして、そういう尊重を踏まえて、それに取り込まれるでなく、
その風景や他人の価値を認めつつも、
それが自分の価値観にしっくりこないのであれば
他者の評価を気にすることなく
本当に自分の価値観にしっくりくることをしていけばいい、ということが

…初めて腑に落ちた。

 Bさん宅に戻って引いたルーンは「X(ギューフ)」だった。
ああ、オチはこれか、と思った。

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